
【家庭と地域でできる防災対策】~災害から命を守るために、今できること~
はじめに
日本は、世界でも有数の自然災害多発国です。地震、台風、豪雨、洪水、津波、火山噴火など、多様な災害が年間を通じて発生しています。近年では、気候変動の影響により「想定外」の災害も頻発しており、私たちの暮らしに大きな脅威を与えています。
こうした状況下で、自分や家族の命を守るためには、日頃から防災意識を持ち、事前の備えを徹底することが何より重要です。
この記事では、「自分ごと」として考える防災をテーマに、家庭内でできる備えから地域との協力体制づくりまで、具体的な対策をご紹介します。
1.災害リスクを知る
◆ 自分の地域で「起こりやすい災害」とは?
防災の第一歩は、「自分が住む地域の災害リスクを知ること」です。日本全国、地域によって想定される災害の種類や規模は異なります。たとえば、内陸部は地震や土砂災害が多く、沿岸部では津波や高潮の危険があります。
こうしたリスクを正しく理解するためには、自治体が提供している「ハザードマップ」の確認が不可欠です。ハザードマップには以下の情報が掲載されています:
- 洪水時の浸水予測区域と深さ
- 土砂災害警戒区域
- 津波の到達範囲と避難所情報
- 火山噴火時の降灰範囲(地域によっては)
自宅や職場、学校などがリスク区域内に含まれているかどうかをチェックし、それに応じた避難計画や備えを考えておくことが重要です。
2.家庭での備え
家庭での備えは、「モノ」と「環境」の両面から整える必要があります。
◆ 備蓄品の準備
災害が起きたとき、最も困るのがライフラインの停止です。電気・水道・ガス・通信・交通などが止まると、私たちは一瞬で「災害下の生活」に直面することになります。行政の支援が届くまでの数日間を自力で過ごすためには、最低3日分、可能なら1週間分の備蓄が必要です。
以下が、家庭に備えておくべき代表的な備蓄品です:
【基本の備蓄リスト】
- 飲料水:1人1日3リットルが目安(調理用・飲用含む)
- 食料:レトルト食品、缶詰、アルファ米、栄養補助食品など
- 携帯トイレ:1人1日5回分を想定。断水時の衛生対策に必須
- 懐中電灯・LEDランタン:停電時の主な照明手段。予備電池も忘れず
- ラジオ(手回し・ソーラー付き):災害情報を得るために不可欠
- 常備薬・救急セット:解熱剤、消毒薬、絆創膏、持病の薬などを家族分
- モバイルバッテリー:スマホがライフラインとなるため充電手段を確保
- 衛生用品:マスク、ウェットティッシュ、簡易洗浄用品など
- 現金(特に小銭):停電時、電子マネーは使えない可能性大
これらは全てまとめて「防災リュック(非常持ち出し袋)」にしておくと、災害時すぐに持ち出せるため効果的です。
◆ 家の安全対策
家の中の安全対策も、被害を最小限に抑えるためには不可欠です。特に地震時には、家具の転倒・落下が大きな負傷原因となります。以下の対策を実施しましょう:
- 家具の固定:突っ張り棒、L字金具、滑り止めマットなどで倒れを防止
- ガラスの飛散防止:窓や鏡に専用フィルムを貼ってケガを防止
- 避難経路の確保:玄関、ベランダ、廊下の障害物を減らす
- 非常用スリッパやヘルメットの配置:夜間の避難も想定して準備を
日常の生活動線を見直し、災害時にすばやく行動できるようにしておくことが大切です。
3.情報収集と避難の準備
◆ 正確な情報を得る手段を持つ
災害時には、SNSの誤情報やパニックに惑わされず、正しい情報源を把握することが重要です。以下のような方法を用いて、迅速に情報を取得しましょう。
- 気象庁の公式ホームページ・X(旧Twitter)
- 防災アプリ(Yahoo!防災速報、NHKニュース・防災)
- テレビ・ラジオの緊急放送
- 自治体からのメール通知、緊急速報メール、防災無線
◆ 避難行動の準備
いざ避難となったときに備えて、次のような行動準備も必要です。
- 避難所の位置と経路を家族で確認する
- 近くに川・崖・海がある場合の危険ポイントを把握する
- 実際に歩いて避難ルートを確認し、災害時の想定をする
- 子どもや高齢者を連れての避難方法を具体的に考える
- 避難カードや連絡先リストを作成・携帯する
特に高齢者、障がいのある人、乳幼児がいる家庭では、福祉避難所の情報や支援申請方法も確認しておくことが望ましいです。
4.地域とのつながりを大切に
災害時には、地域の助け合いが大きな力になります。
孤立してしまえば、必要な支援が受けられないばかりか、情報も遮断されてしまうことがあります。日ごろから近所付き合いを大切にし、地域の防災活動に積極的に参加することは、いざというときの助け合いにつながります。
◆ 地域でできる防災の取り組み例
- 自治会・町内会の防災訓練に参加する
- マンションや団地で安否確認の仕組みをつくる
- 災害時の声かけリストを作成しておく
- 地域の要支援者(高齢者・障がい者など)と連携する
- 地域の避難所運営に関わる機会を持つ
行政の支援だけでなく、「地域住民同士のつながり」が生死を分けることもあるのです。
まとめ:防災は「自分ごと」として取り組もう
私たちの生活の中に、常に災害のリスクは存在しています。「まさか自分が被災するなんて」という思い込みが、最も危険です。防災は、自分の命・家族の命を守るための行動です。
- 自分の地域のリスクを知る
- 家庭の備蓄と安全対策を整える
- 正しい情報を受け取り、迅速に行動する
- 地域とつながり、助け合える関係を築く
この4つの柱を軸に、できることから一つずつ備えていきましょう。
「防災は特別なこと」ではありません。今日、スーパーで保存食を1つ多く買うだけでも、立派な第一歩です。

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